大好きな大地監督の作品だったから
見ようと思ってた。
多分、1,2話くらい見て
そのままになってしまった・・・
大地監督って、ギャグ作品も多いけど
いつもメッセージ性がある作品が多くて
命だったり、絆だったり・・・
そのメッセージ性があるところが好きだった。
でも・・・
今回の、この作品は、一切ギャグはない。
そして、かなり重たいテーマだと悟った・・・
当時の私は、ちょっと、その重たいテーマな
アニメ系が見れる状態ではなかった。
そして、この作品が終わった後
ちらほらと感想を見かけた。
良い感想ではなかった。
思った以上に重たい内容だってことも知った。
でも、いつか、きちんと見たい作品だった。
たまたま、この作品を
最近、見た方々の感想を見かけた。
昔とは評価がガラリと変わっていた。
良い感想が多かったんだ。
そして、私は、今こそ見てみようと思った。
現代に生きてる普通の少年シュウは
不思議な少女ララ・ルゥと出会い
ヘリウッドという知らない場所に連れ去られてしまう。
そこは、少年たちが兵士として戦う戦争真っ只中の世界だった。
シュウと同じく現代から連れ去られた少女サラと
仲良くなるが、サラは兵士たちの慰安婦にされ
望まない妊娠をしてしまう・・・
兵士として戦う少年たちは、シュウが
とても苛立つ存在になる。
シュウは、普通に戦争のない平和な現代で育った少年だから
こんなのおかしいって、あたり前のことを言うし
サラにも、希望のある言葉を言う。
でも、この世界で生きてる少年たちには
シュウの言ってることは、あたり前じゃないんだよね。
戦わないと死ぬという世界で生きてる。
敵を殺さなかったら自分が死ぬ世界。
生きてる世界が違う。
あ、これは・・・
「バナナ・フィッシュ」に似てると思った。
「バナナ・フィッシュ」では
戦わないと生きていけないアッシュと
日本で平和に暮らしてたエイジが
生きてる世界が違うんだと気づく。
私が、このマンガを読んだ時
エイジが、自分がいかに日本でぬくぬくと生きてきたか
なんて無力な人間なんだろうと恥じるところで
私も、エイジと同じく自分を恥じた。
でも、そんなエイジだからこそ
アッシュが唯一、ココロを許せて
本当の友達になれる作品だった。
でも、「今、そこにいる僕」の
シュウは、自分が無力だってことに
この世界では、ただの綺麗事でしかないってことに
気づいてない。
だから、兵士として戦う少年たちから疎まれるし
サラにも、非難される。
シュウの言葉に、みんなが変わっていく話じゃない。
ハムドという絶対的暴君が支配している世界。
シュウが、そのハムドに立ち向かう話でも
ヒーローになる話でもない。
ただ、無力な少年が戦場に放り込まれて
綺麗事を言うだけのアニメ。
誰も助けられないアニメ。
望まぬ妊娠をしたサラは、ひとりで苦しむし
サラを救ったのはシュウではなく
その世界に生きてる子供たちの世話をしてる
シスというおばさんだ。
シスたちと一緒に暮らすうちに
サラは、子供を生んで
この世界に残る選択をする・・・
そんな荒れた戦争ばかりの世界で子供を生んで
育てていくと言うの?
子供を生まないで自分のいた世界に戻る選択肢だって
できたかもしれないのに・・・
この選択が、当時は、かなり批判されていた。
それは、この作品がアニメだから架空の話だから
もとの世界に戻れる選択肢があるから。
でも、現実で戦争をしてる国はある。
子供たちが兵士として戦ってる世界は存在する。
望まぬ妊娠をする少女だって存在する。
そして、その子たちは逃げることはできないし
そこで生きていくしかない。
選択肢なんてない。
多分、長い年月を経て、評価が変わったのは
そこなんだろう。
アニメなんだから、娯楽なんだから
創造物でさえ辛い現実を突きつけなくてもいいじゃないか。
架空の世界なら救いがあったっていいじゃないか。
そう、思う人もいると思う。
でも、きっと大地監督は
このアニメを娯楽作品にするつもりなんて
最初からなかったと思う。
いつもメッセージを込めてアニメを作ってる監督だからこそ
現実を突きつける作品にしたんだと思う。
暴君のハムドは別のカタチで死を迎える。
シュウに倒されるとか、そーいうカタチではなく。
ララ・ルゥも消えてしまう。
そして、シュウは、もとの世界に帰れることを知って
ひとり、平和な世界に戻っていく。
この世界に残って子供を生むサラのそばに
一緒に残る選択もしない。
シュウが、もとの世界に戻って
自分の荷物を手にして
夕日を見つめて終わる。
シュウが、この先どんな生き方をするのか?
何を思って生きていくのか?
それは、まったく、わからない。
そんな最初から最後まで
無力なことに気づかない少年の話だった。
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